2009年7月17日金曜日

コミュニティー・サステインド・アグリカルチャー

「地域支援農業」とでも訳せばいいのでしょうか。普通 Community Sustained Agriculture - CSA と呼ばれ、こちらではかなり定着してきている。簡単に説明すると、農家と消費者が年間契約を結ぶのだ。これは地元の農業を守ると同時に、消費者としては質の高い新鮮な食べ物を購入することができる。ほとんどの CSA は無農薬農家である。

イプスイッチの町にはアメリカで最古の連続経営農場アップルトン・ファームがある。アップルトン氏はイプスイッチを植民地化した最初のグループの一人としてこの土地にやってきた。その農場は近年、地元の非営利団体に寄付され、新たに地域支援型無農薬農場として経営されることになった。

年会費(シェア)$600で6月上旬から10月下旬まで、毎週1回農作物をブラウンバッグいっぱいもらえる。だいたい野菜をたくさん食べる5人家族が1週間食べれるくらいの量である。無農薬、ホルモン剤不使用の飼料で育てられている牛もおり、牛肉も別に買うことが出来る。時々、ガーリック・フェスティバルとか収穫祭などのイベントもあり、会員同士の交流も楽しい。

実は、うちはここの会員になるために3年間もウエイティング・リストにのせてもらって待っていた。去年とうとう夫が我慢しきれずに「アップルトン・ファームなんてくそくらえだ!いつまで待てばいいんだよ!じぶんで畑つくってやらあ〜!」(子供には聞かせれないような英語で息まくった)と言って裏庭の芝生を掘り下げ、5m x10mくらいの大きさの畑を作ってしまった。そこにはトマト、豆、レタス、ズッキーニー、ガーリック、なすび、キャベツなどの他に葉っぱをみただけでは何なのかわからないものがいっぱい並んでいる。畑は夫の管轄下なので、私にはよくわからないのである。

我が家では毎年5月の母の日の週末が「畑開き」と決まっている。毎年4mx5mくらいの小さい畑にトマトや豆などをこじんまりと植えていたのだが、去年からは夫と子供たちで丸2日費やして畑の準備をして種をまいたり、苗を植えたりした。5月と6月は畑の世話がかなりハードだが、ある程度作物も大きくなるとあとは楽だ。

そんなとき、アップルトン・ファームから「あなたの番が回ってきました。来週から収穫がはじまりますので、記入した申し込み用紙と入金をお願いします。」との連絡が入ってきた。

うちの畑だけでもかなりの収穫があるので迷ったのだが、ここで辞退すると今度加入したい時にまた数年待たされる。子供たちもこれからどんどん食欲が増してくることを考えると、加入しておいた方がいいだろう。それにうちは秋野菜は作らないので、それもほしい。ということで、同じ町に住む牧ちゃんち(ベビーを入れて3人家族)と雅代ちゃんち(彼と二人暮らし)とでシェアを分けることにした。我が家が50%、牧ちゃんと雅代ちゃんはそれぞれ25%分のお野菜をもらう。

今の時期はレタスや人参、水菜、白菜、ボックチョイ、スイスチャード、他さまざまな根菜、葉っぱのお野菜が並んでいる。スーパーでは買えないもの、見たこともないようなめずらしいお野菜もたくさん並んでいる。その日の朝採れたばかりのぴちぴちの野菜だ。その中から自分のほしいものを袋に詰めて行く。

自分のシェアを取りに行くたびに、自分で収穫できるものもある。たとえば、先週はいちご取り放題、今週はまめを1クオートと花10本。畑に出て行き、収穫する。たかが2、30分のことなのだが、暑いし、腰は痛いしで結構大変だ。お百姓さんは本当に大変なんだなあと身をもって感じる。こどもを連れてくる人も多く、たいていの子供たちは自分でむしった生野菜をばりぼり食べながら親のあとにくっついて歩いている。

自分で育てた野菜を食べるのはうれしいものだが、それを家族や友達に分けてあげたり、ごちそうしたりするのはより楽しい。

でも、一番楽しいのは雪の降り積もる真冬の1月くらいに、夏の終わりに瓶詰めにしたトマトソースやジャムを開たり、ペスト(バジルで作った「夏の香り」のするペースト状のもの)を解凍したりして、つかの間だけ夏を懐かしむ料理を頂く時だ。我が家は燃料費を節約するために、ダイニング・ルームでは薪ストーブを使っている。その上のヤカンがしゅんしゅんなっている中で、夏の香りの食事をすると、「この寒さもあと3ヶ月の辛抱」と自分に言い聞かせて長い冬を乗り切るのである。

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